このサイトのタイトルは、ポーランドのノーベル賞詩人ヴィスワヴァ・シンボルスカの詩集『終わりと始まり』のなかの「詩の好きな人もいる」という作品タイトルからお借りしている。
詩の好きな人もいる
そういう人もいる
つまり、みんなではない
みんなの中の大多数ではなく、むしろ少数派
むりやりそれを押しつける学校や
それを書くご当人は勘定に入れなければ
そういう人はたぶん、千人に二人くらい
好きといってもーー
人はヌードル・スープも好きだし
お世辞や空色も好きだし
古いスカーフも好きだし
我を張ることも好きだし
犬をなでることも好きだ
詩が好きといっても――
詩とはいったい何だろう
その問いに対して出されてきた
答えはもう一つや二つではない
でもわたしは分からないし、分からないことにつかまっている
分からないことが命綱であるかのように
( 沼野充義訳『終わりと始まり』未知谷刊 より )
二十代に詩と出会い、つかず離れずの関係を保ちながら、いままで付き合ってきた。詩がなければ生きていけない時期もあったし、詩を書くこととはかなり離れていた時期もある。ただ、そういう時期にあっても、詩はわたしの身近にあった。そしてこれからも、そうありたいと考えている。
シンボルスカのこの詩を読んだとき、自分と詩の関わりかたは「このようにある」のだと実感した。
そして、これからも・・・。
このサイトでは、詩の好きな人はもちろんであるが、犬をなでることの好きな人(もちろん比喩もあります)のご紹介もできればと考えている。
2020.05.16 提箸 宏